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執筆者の写真ふがし 暇神

【CoCログ】びいどろの国【KP参加】

更新日:2020年7月1日

◆注意書き◆

・このシナリオはごくつぶし様(@Gokutubushi_CoC)作成シナリオです。

・CoCシナリオ”びいどろの国”の重大なネタバレを含みます

 未通過で、これからやるよ!って方は見ない様にお願いします。

・こちらのシナリオは二足獣の国々にて掲載されていたシナリオになります。

 2020.5.31 23:59にはこちらの企画HPでは掲載終了となりますが、ごくつぶし様のpixivboothである”めじろ通信社”にて、配布予定となっております。もしもこのログを読んで、やりたい!となりましたら、上記リンクか、検索の上回していただけると幸いです。

・一部特殊ルールがシナリオ内にございますが、ネタバレ防止のために、適用時に本文の方で軽く説明させて頂きます。

・幾つか処理に合わせた改変箇所等は、このページ末尾にてお知らせします。

・PC画像はPLであるたぽやきさん(@tapoyakimine)にご提供いただいてますので、保存はご遠慮くださいませ。

・PCの発言は当時の色のまま、NPCの場合は、初めの時等の分かりにくい時に 「」 の前に名前を入れさせていただきます。

・PL発言や行動の宣言は 「」 が無い物になります。

・基本的に当時のままではございますが、誤字や脱字等は修正はしております。


以上の事を承知の上で、お楽しみください。







●PC情報●

名前:狸谷 ナツ(タヌキダニ ナツ) 年齢:?? 職業:聖職者

STR:7 CON:8 POW:15 DEX:13 APP:15

SIZ:8 INT:17 EDU:20 SAN:75

回避:56 拳銃:80 応急手当:80 隠れる:60

聞き耳:75 図書館:75 ナビゲート:50 説得:70

経理:60 心理学:80 歴史:80

一言メモ:ろりばばあ。おナツって呼んであげて。






これ以降はシナリオ本文となりますので、

ご注意くださいませ。



























「ねえ、わたしのびいどろはどこ?」



そのようなか細い声に、あなたは思わず振り向きます。


そこは名も知らぬ静かな往来。うららかな陽気に満ち満ちた、皐月の頃でありました。


CoCシナリオ”びいどろの国”開幕でございます。





うららかな春の陽気に満ち満ちた、皐月のころでありました。

通りを行き交う人々のうちの一人であったあなたは、どういったわけかはともかくとして、名前も知らない道を歩いておりました。

今となってはそのことすら、曖昧であるかもしれません。


「なんかようわからんところに…なんでやっけなこんなとこ歩いて…とうとう歳かね?」


はて?とそう首をかしげるその道すがら、あなたの背の方からぽつりと、小さな声が聞こえました。


「ねえ、わたしのびいどろはどこ?」


「はいなんでしょか」振り返ります。


声がした方を振り返ってみると、ビルヂングの合間に薄暗い路地が続いておりました。

人影は見当たりませんでしたが、その奥の方からはからり、ころりと、透き通った音が聞こえてまいります。

その音に誘われるようにして、あなたの足はそちらの方へと一歩、また一歩と進んでいくのでした。


「なんやろねえ」


最初、路地は真っすぐに伸びておりましたが、次第に道が左右に曲がり、終いには下り坂になっていきました。

街のざわめきが遥か向こうに遠のき、静けさが耳につくようになったころ。





──あなたの行く手は一枚の暗幕に阻まれます。


そして、暗幕の下から何者かによって、一枚の便箋が差し出されます。

何かの植物があしらわれたクリーム色の便箋には、流れるような金文字で



 ようこそおこしくださいました


 ここはきらめくびいどろの国


 このよでもっとも小さな国には

 すべてのまことがございます



 くらやみでかがやくびいどろは

 そのほんとうを見つめるまなこ



 ぜひいつでもおかえりください

 ぜひなんどでもおこしください



と書かれておりました。


ふふふ、いいね。


さて、貴方は目の前の暗幕を潜ることも、潜らずに帰ることもできるでしょう。

その選択は貴方の手に委ねられているのでございます。

いかがいたしますか?


「はて、そうけ。おーいそこにおる人、どうやって帰るんかわかる?」

その暗幕の中に聞き耳振ってみたいです。


どうぞ、どうぞ。


CCB<=75【聞き耳】 Cthulhu : (1D100<=75) > 99 > 致命的失敗


Oh……。


ファンブル困るけど、まあ後で何か考えまする。


ひょえ、このばあちゃんはファンブラーに違いない


あなたの声は暗幕の向こうに届いたのか、それは分かりません。

もしかすると、既に暗幕の向こうに居た人はそこにはもういないのやもしれません。

一つ確かなことは、今あなたの声にいらえが無いということでしょう。


「そうけぇ、じゃあ観光でもさせてもらいましょうかねぇ」


ではぶらぶらとし始めます。なにか気になる建物とかあります?


暗幕の他には無機質なビルヂングがあるだけでございます。

あなたが他の場所をぶらりぶらりと、散策をしていると、不思議なこともあるもので、何時の間にかにまた、あの暗幕の前へまで戻ってきているじゃありませんか。

これは狐狸の類に化かされたか、とあなたはなにやら不可思議な物に対して不気味さを覚えることでしょう。

どこかでびいどろの音が、こちり、かちり。

SANチェック0/1


CCB<=75【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=75) > 96 > 致命的失敗


あらあらぁ。


SANチェックファンブルはハウスルールで、最大減少ですが1ですね。


SAN : 75 → 74


もしもあなたが目の前の暗幕をあまりに不気味に思い、今すぐ戻りたいというのでしたら、おそらくきっと戻ることも出来ましょう。

しかし、その好奇心がその恐怖に打ち勝つというのであれば、暗幕をめくることを薦めさせていただきます。


「こらまぁ化かされとるんかねぇ?キツネはうちの山にはとんと出んから、珍しいわぁ」


こちら臆病など忘れた古狸。斯様なきぃぱぁの挑発、真っ向から受けて立ちましょう。捲らせていただきます。


それでは、それでは。








暗幕をめくってくぐりますと、一足先に夜がやってきたような暗がりが広がっておりました。

暗闇の中には柔らかな蝋燭の火がいくつか灯り、暗幕のひだをわずかに浮かび上がらせておりました。

また、その光は空間のあちこちに並んだガラスを通って、赤から青へ、黄から緑へと、幻のように煌めきます。

灯りの近くにはそれぞれ何者かが座り、色とりどりのガラス細工を商品のように並べております。

さて、さて、いかがいたしましょう?


「暗いんは困るわ、最近目ぇ悪くなってきて」

一番近い明りの場所へ参りましょう。


では、では。






いつかの思い出をくすぐるような音がしていました。

吊り下げられたいくつもの風鈴が、少しの風も吹いていないというのに、りいん、りいんと鳴っているのです。

あなたがそれを眺めていると、横に座っていた人が話しかけてきます。真っ黒な布を頭から被っており、その人相は知れません。


風鈴売り「それらは私のコレクションの中でも、いっとう上品な風鈴です。息を止めて耳を澄ますと、曇りのない音がよっく響いてくるでしょう」

「お気に召しましたらまじまじと、うんと近くでご覧なさい」


その声には一つの抑揚もなく、男なのか女なのかも、はたまた子供なのか老人なのかも、さっぱり分かりませんでした。

じっと風鈴を見つめるのであれば、目星を振ることが出来ましょう。


この風鈴がほんとうに一番上等なものなのか、心理学で知りたいでございます。


どうぞ、どうぞ。


こちらでふってよろしいか?


まあ、今回はそちらの方がよろしいでしょう。


CCB<=80【心理学】 Cthulhu : (1D100<=80) > 76 > 成功


それでは、彼、あるいは彼女は心からそう思ってるようですね。


「これはこれは、ええもんですねぇ。見させてくださいな」

そういってまじまじと近くで見つめましょう。


「ええ、ええ、どうぞしかと」


そして目星も振りましょう。


どうぞ、どうぞ。


CCB<=25【目星】 Cthulhu : (1D100<=25) > 48 > 失敗


からくると回る風鈴も、その模様はさまざまでありました。

けっして濁らない水を泳ぐ生き生きとした魚たち。

触るだけで壊れてしまいそうな星水母。

そのどれもが灯火を写して、いつかの夏の線香花火が揺れているかのようでした。


「いっとういいものですからねえ。きっと気に入ってくださるでしょう」

「この国じゃお代はいただきません。どうぞお気に召した風鈴を、一つお持ちかえりください」


「あらぁそんなん、ええの?こらええとこに来ましたなぁ」


さてここで目星の成長を1d6どうぞ

※此方が特殊処理となります。詳細はここでは言いませんが、目星の成長をシナリオ中で行います。


1d6 目星成長 Cthulhu : (1D6) > 3


では次からは28でどうぞ。


かしこまりました。


「ええ、ええ。ここにはすべてのまことがございます。どうぞ、ごゆるりと」


では狸を模したような風鈴もございましたか?


ここにはすべてのまことがございます。きっと、見つかる事でしょう。


ではそちらを一つ頂いて、年甲斐もなく上機嫌にお次へ参りましょう。

他にもお店があるのでしょう。


ええ、ございますとも。

でしたら、でしたら。

次のお店でございます。







鳴き声が聞こえてきそうなほど、それはにぎやかに見えました。

小さな机の上は、大小さまざまな動物や植物でいっぱいでした。机の向こうに座った人が、やはり抑揚のない声で語りかけてきます。


動物売り「いかがでしょう。どれもこれも、頭から爪先までていねいに、正しく作った代物です」

「どれもわたくしの目で見てまいりましたので、まちがいは一つもございません」

「今は見ずともわかります。いくつかつまみ上げてご覧なさい」


つまみあげてみるのでしたら、目星を振ることが出来ましょう。


「どれもこれも素敵なもんやねぇ、どこで造りなさってるん?」


「私が気ままに作っております。未熟者の手慰みではございますが、どうぞお手に取って頂ければ幸い」


「あらあらあなたさんが作っとりますの。素敵ですねぇ、ではこちらを」

おひとつ拝借いたしまして、まじまじ見つめさせていただきましょう。ついで目星も振りましょう。


ええ、どうぞ、どうぞ。


CCB<=28【目星】 Cthulhu : (1D100<=28) > 99 > 致命的失敗


そのうちからひょいと一つ持ち上げてみますと、見れば見るほど途方もなく精巧なガラス細工でありました。

肝を冷やす唸り声が聞こえてきそうな獣たち、葉っぱの裏を歩く虫までも見つけられそうな植物……一人で抱えられそうなほど小さな机だというのに、この世に生きとし生けるもののすべてが集められているような……。

あまりにも完成されたその作品群に、畏怖にも似た感情が湧きたつことでしょう。

どこかでびいどろが、きらん、からん。

SANチェック0/1


CCB<=74【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=74) > 18 > 成功


「生き物というものは、どれもよくできているものです」

「ありのままを形作るだけで、これほどまでに美しく仕上がるのですよ」


ああ、それとどうぞ目星の成長をなさってください。

1d6でございます。


1d6 目星成長 Cthulhu : (1D6) > 1


では次からは29でございます。


「あらあらこれはええものですねえ、おひとつ頂いても構いませんかね?」


「ええ、どうぞどうぞ。ここではお代は頂いておりませんので、お好きな物をおひとつ持って行ってください」


狸を模したものがございましたら、そちらを頂きまたまたお次へ参りましょう。

他にもお店があるのでしょう。


勿論、勿論。

ですが次でお店は終わりとなってしまいます。


あれれこの楽しい時間もお終いとなってしまうのですね。それもまた一興でございましょう。


ええ、どうぞ最後までご堪能あれ。








次のお店は机の上に置かれた竹細工の籠に、大きなビー玉がうず高く積み上げられておりました。

蝋燭の火が球体の間を流れてしたたり、その表面を磨いているように見えました。

蛍火にも似たそれを見つめる間もなく、机の向こうの人が話しかけてきます。


ビー玉売り「みずみずしく、つやつやとして、ええ、食べられそうなほど新鮮です」

「気になりましたら一つか二つ、隅から隅までご覧なさい」


彼、もしくは彼女はそう言ってあなたにビー玉を薦めてまいります。

一つか二つ、お好きな物を選び、よぉく見るのであれば、目星を振ることも出来ましょう。


「あらあら、ビー玉とは懐かしくてええもんですねぇ」

は一番上にあるのをお一つ手に取りまして、ゆっくりまじまじ眺めましょう。

ついでに目星も振りましょう。


CCB<=29【目星】 Cthulhu : (1D100<=29) > 85 > 失敗


波打ち際の海水を掬い上げてそのまま固めたような、からきりと透き通ったビー玉です。

表面に仄かに映った自分の顔も、あまりの美しさに見惚れてか、とろんと呆けているようでした。


「どれも美しいのは同じですが、一つひとつ色や輝きが違ってよいのです」

「もう数十は集めました。けれど、まだまだ飽きることはなさそうです」


「あらあら、こちらはあんたさんが作っとるんとちゃいますん?」


「ええ、ええ、此方は私が集めているものでございます。どうですか、ひどく心を惹かれませんか。私は、この良さを広めてまいりたいのでございます」


「えらくええモンやとは思いますねえ、えぇえぇ、ええモンでございましょ」


「そうでしょう。時折、口に含んだって構わないとすら思うのです。きっといい味がするぞと、何かに囁かれるようで。どうですか、貴方もおひとつ」


「あらまぁほんまにお口に入れたことはありますの?」


「ははは、たとえ話でございます。ですが……いい味がするかもしれません。……こんなにもきれいなんですから」


「そうけぇ、一つもらっていきますわぁ」


「どうぞ、どうぞ」


お一つ貰っていきましょう。でも、次のお店はないのですね。


ええ、まことに残念ではございますが。

――ですが、これでもう終幕というわけではございません。







澄んだ音と暗闇ばかりが満ち満ちた空間でしたが、一番奥の暗幕の向こう側だけ、わずかに明るいように見えました。

そちら側をじっと見つめていると、柔らかな朝日で山霧が晴れていくように、ますますはっきりとしてくるようでした。

しかし自らの体内では恐怖と疑念が逆巻き、先走った好奇心の足を払うのです。

いくら目が冴えようとも、それが自ら培ってきた理性なのか、はたまた産まれながらに持つ本能なのかは分かりませんでした。


「急に明るくなられるのも、目が中々にきついわぁ……」


そうぼやき、ふと足元を見てみると、入り口で差し出されたものと同じ便箋がありました。

これはまったく同じもので、よく調べても何もありませんし、これといった意味合いはございません。


ええ、ここで再度問い掛けをさせて頂きましょう。



もしもあなたが目の前の暗幕をあまりに不気味に思い、今すぐ戻りたいというのでしたら、おそらくきっと戻ることも出来ましょう。


しかし、その好奇心がその恐怖に打ち勝つというのであれば、暗幕をめくることも出来ましょう。


さあ、いかがいたしますか?



ではでは強がってお次の幕も捲りましょう。


何か言葉はございますか、無いのでしたら進めさせていただきます。


話す人もいなければかける言葉もございません。お先へどうぞ進めてください。


では、では。











暗幕をめくると、向こう側から漏れてきた鮮やかな光が、暗闇に慣れてしまったあなたの目に飛び込んできました。

たいへん不思議なことに、暗黒の切れ間から差し込むその光は空中で揺らめき、直線らしい直線など一つもありませんでした。

その光に照らされようとそこには何の輪郭も見当たらず、この空間の果てを見出すこともかないません。

そのどこか暖かな光を見ていると、自身を満たしていた恐怖心がさらに煮え立ち、細胞という細胞が凝固していくようでした。

そして、何者かが冷たい手でゆっくりと、眼前のヴェールを一枚一枚剥ぎ取っていくのが分かります。

何かが明かされようと、暴かれようとしているのだと、心の内にわずかに残った正気がこぞって警鐘を鳴らしておりました。

SANチェック 1D6/1D10



CCB<=74【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=74) > 41 > 成功


1d6 SAN減少 Cthulhu : (1D6) > 6


SAN : 74 → 68


アイデアをどうぞお振りなさってください。


CCB<=85【アイデア】 Cthulhu : (1D100<=85) > 14 > スペシャル



それでは今、あなたの目前に、何か恐ろしい物がいることが分かってしまうことでしょう。

あなたは神に仕える身、故にそういった存在がいることを信じているやもしれません。

だからこそ、目の前の存在が、明かされようとしているものが、どれほど危険なものなのか、察してしまったのでしょう。

狂気の選択をどうぞ、選んでくださいませ。

賽の目に任せてもよろしいですし、自分でお決めになられるのも、それもまた良いでしょう。


ここは運に任せましょう。


1d10 狂気選択 Cthulhu : (1D10) > 1

気絶もしくは金切り声の発作


お好きな方を選んでくださいませ

ですが、あなたの細胞のヴェールは刻一刻と剥がされておりますのは、ゆめゆめお忘れになられぬように。


そうですね、ではしばしの間気絶致しましょう。

ああいや、やめときましょう。


どうなさいますか。


やはりやはり気絶致しましょう。

「これは…神さまでもいらっしゃったんかね…」

小さな声で呟いてぱたりとその場に倒れましょう。それが歳のせいか恐怖のせいかはわかりませんが。


それでは、それでは。





あなたが気絶していると、光にすこしばかり変化が起こります。




揺らめいていた光が、徐々に徐々に、あなたの元へと膨張しながら近づいてくるのです。


CON*5に成功すれば起きることも出来るでしょう。

いかがいたしますか?


ではサイコロを振らせていただきましょう。



CCB<=(8*5)【CON*5】 Cthulhu : (1D100<=40) > 49 > 失敗



おやおや。

それではあなたは、暖かな陽気に、自然と目を覚ますことでしょう。

そこにはすっかり忘れていた春の陽気がありました。身体が少しずつ温まり、幸福感に似た何かがあなたを抱きしめます。


「なんやぁ…あったかい…?」


けれど、それはほんの一瞬の出来事でした。どこからか生ぬるい風が吹き、攫われた幸福の代わりにありとあらゆる膨大な記憶や知識が流れ込んできたのです。


POW*3に成功すれば、異常に気付きここから離れる事も出来るやもしれませんが、いかがいたしますか?


ほうほうこれは一大事。記憶が頭に流れ込むとはこれ如何に。

サイコロを振らせていただきましょう。


どうぞ、どうぞ。


CCB<=(15*3)【POW*3】 Cthulhu : (1D100<=45) > 74 > 失敗



それでは、それでは……。









ここにはこの世のすべてがあり、ここには何もありません。

神秘はすべて真実であり、科学はすべて幻想です。

我々が暮らしている宇宙はとある生物の脳細胞、ニューロンの繋がりのごく一部であり、それぞれの生物の中にまた小さな宇宙があります。

形而上の存在と形而下の存在に大きな違いはなく、どれもが境界線を行き来していて、分類することそのものはいたって無意味です。


あなたはどこを見ていますか。


あなたは何を見ていますか。


あなたには本当に見えていますか。


見えているもの、それは妄言を積み重ねた先にあった軽薄な幻覚ではないでしょうか。

全身を駆け巡る電気信号の戯れの産物ではないでしょうか。

視神経がようやく持ち得た自我の表れではないでしょうか。


それとも、初めからずっとそこにあったものではないでしょうか。


けれど、見えるのです。そのすべてが。


SAN 1D10/1D100











CCB<=68【SANチェック】 Cthulhu : (1D100<=68) > 15 > 成功



1d10 SAN減少 Cthulhu : (1D10) > 2


SAN : 68 → 66


さて、ここで一つお知らせがございます。


お知らせですと。なんでございましょうか。



神聖な光、暗黒をはぎ取るもの、”聖なる光”に真実の贈り物を受けたあなたは、元の世界に帰り着いたとしても、眼を抉り出したり潰したりしない限り、探索者は毎日1D6正気度ポイントを失います。

今ここで、行いますか?ここで行うのでしたら発狂した扱いにして、行ってもいいでしょう。



そうですねぇ、ではでは両の目を潰しましょう。潰すのに何か判定はございますか?


いえ、判定は不要でございます。


ではではこの女は哀れ、見たくないものから逃げるように両目を指で穿るでしょう。







「あは、こんなんえげつないですわ」



「ほうら、目が無い方がよっぽど楽や」



「あはは、まだまだフラフラするけど、さっきのよりはよっぽどましや」



フラフラするのは血が止めどなく流れ出ているおかげでしょうか?



それともそれとももしかしなくても先ほどの現象のせいでございましょうか?



「あぁあぁ、ようやく気分がよくなったわ」



そんなことは今はどうでもよいでしょう。







あなたは目の前のものから逃げる為に、見ないで済むように、自分の両の目を、自分でえぐり取る。

そして真実の贈り物を受け取って今にも弾け飛んでしまいそうなあなたは、まだ感覚の残っている手足を動かし、来た方へ戻ろうと藻掻きます。

こうなってしまうと、もう自分の眼は何にも役に立ちません。


ある時は、手先指先の感覚を働かせて虫のように。


ある時は、太陽の匂いを追って獣のように。


ある時は、いまだ心地よいガラスの音を求めて人のように。


とにかく、前へ前へと進みました。






手先に布が触れる感覚がありました。

ええ、あります。

あなたがそれを力いっぱい払いのけると、研ぎ澄まされた耳にたくさんの音が飛び込んできます。






けれども、何も見えません。どこへ行ったのでしょう。


確かに声は聞こえるのに、確かに風は触れるのに、確かに春は香るのに、そこには何もないのです。


ああ、困りました。こんなことでは、何にすがっていいかも分かりません。


見えません。そこには、ここには何も。


僕は、俺は、いや私は、誰ですか、僕でしょうか、それとも私でしょうか。







ここにいるのでしょうか。







しかし、とにかく誰か、誰かに助けを求めなければなりません。


せめて、少しでも“そこにいる”と思える気配に向けて、貴方らしきものは精一杯の声を振り絞りました。


















「ねえ、わたしのびいどろはどこ?」

















           ――うららかな春の陽気に満ち満ちた、皐月のころでありました。





誰かが振り向いたのかは、今となっては分かりません。



びいどろとは ガラスの別名。



玻璃 瑠璃 硝子 ギヤマン



ぽぴん ぽっぴん あるいは官吏







転じて、両の目のことを云う。




目のことを云う。目のことを云う。目のことを云う。目のことを云う。




眼ノコトヲ云フ。眼ノコトヲ云フ。眼ノコトヲ云フ。眼ノコトヲ云フ。











今まで何も知らなかったんだろう。







                     ――――嗚呼、お前は本当に目が悪いねえ。
























さて、さて。


これにてCoCシナリオ”びいどろの国”終幕でございます。


長いようで短い時間でございましたが、ありがとうございました。


【END C】でございますので、生還報酬はございませんが、悪しからず。



ほんとにほんとうに、ぞっとする話です。いやはや、これには回していただいたKPに感謝をしていいのか、判断つかぬ次第でございます。


私としては大変大変たのしゅうございました。



















以下、改変点。

・描写、各NPCのセリフの付けたし。

・ファンブル直後にあるSANチェック。(該当二カ所:一枚目の幕前と動物売り)



ここまで読了頂きありがとうございました。

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