◆注意書き◆
・このシナリオはごくつぶし様(@Gokutubushi_CoC)作成シナリオです。
・CoCシナリオ”びいどろの国”の重大なネタバレを含みます。
未通過で、これからやるよ!って方は見ない様にお願いします。
・こちらのシナリオは二足獣の国々にて掲載されていたシナリオになります。
2020.5.31 23:59にはこちらの企画HPでは掲載終了となりますが、ごくつぶし様のpixivboothである”めじろ通信社”にて、配布開始しております。もしもこのログを読んで、やりたい!となりましたら、上記リンクか、検索の上回していただけると幸いです。
・PLであるふがしはKPを回してからこのシナリオを回ったので、一部の行動を特殊なダイスで決定しています。これについての詳細は本文末にて説明します。
・一部特殊ルールがシナリオ内にございますが、ネタバレ防止のために、詳しくは書きません。どうぞ、ご自分でシナリオを回るか、ごくつぶし様のシナリオをご覧くださいませ。
・幾つか処理に合わせた改変箇所等は、このページ末尾にてお知らせします。
・PCの発言は当時の色のまま、NPCの場合は、初めの時等の分かりにくい時に 「」 の前に名前を入れさせていただきます。
・PL発言や行動の宣言は 「」 が無い物になります。
・基本的に当時のままではございますが、誤字や脱字等は修正はしております。
以上の事を承知の上で、お楽しみください。
●PC情報●
名前:瑠川 明斗(ルカワ メイト) 年齢:22 職業:作家
STR:13 CON:5 POW:8 DEX:11 APP:12
SIZ:8 INT:16 EDU:7 SAN:40
聞き耳:60 図書館:55 製作(文学):60 説得:40
母国語:85 オカルト:30 心理学:30 歴史:75
一言メモ:知識35幸運40とか初めて使ったし、母国語に職業P50振ったのも初めての経験だった……。 ※立ち絵はらぬき様の物を使用していたので、掲載しません。
これ以降はシナリオ本文となりますので、 ご注意くださいませ。
うららかな春の陽気に満ち満ちた、皐月のころでありました。
通りを行き交う人々のうちの一人であったあなたは、
どういったわけかはともかくとして、名前も知らない道を歩いておりました。
今となってはそのことすら、曖昧であるかもしれません。
その道すがら、あなたの背の方からぽつりと、小さな声が聞こえました。
「ねえ、わたしのびいどろはどこ?」
○●○●○●○
CoCシナリオ「びいどろの国」
○●○●○●○
KPmel:さてさて、ここであなたは二つの行動が取れましょう。
その声に振り返るもよし、振り向かず、雑踏の中に紛れるもよし。
瑠川 明斗:「誰ぞか、あたしを呼んだかね?」振り向きます。
声がした方を振り返ってみると、ビルヂングの合間に薄暗い路地が続いておりました。
人影は見当たりませんでしたが、その奥の方からはからり、ころりと、透き通った音が聞こえてまいります。
その音に誘われるようにして、あなたの足はそちらの方へと一歩、また一歩と進んでいくのでした。
最初、路地は真っすぐに伸びておりましたが、次第に道が左右に曲がり、終いには下り坂になっていました。
「ほう、ほう。これはまっこと奇奇怪怪なこともあることだ。日和もいいことだし、少しばかり探索と洒落込むとしましょうかね」
貴方は見知らぬ路地に心躍らせながら、その路地を進み往くことでしょう。
そうして街のざわめきが遥か向こうに遠のき、静けさが耳につくようになったころ──。
あなたの行く手は一枚の暗幕に阻まれます。
あなたが思わず立ち止まると、暗幕の下から何者かによって、一枚の便箋が差し出されます。
受け取るもよし、受け取らぬもよし。
引き下がるもよし、進むもよし。
あなたの御心次第でございます。
「おお、これはもしや招待状か、それとも宗教の勧誘か何かかね?こんなところまで来たのだ。折角だ、有難く頂こう」受け取ります。
それを受け取りよくよく眺めてみてみれば、何かの植物があしらわれたクリーム色の便箋に、流れるような金文字でこのように書かれておりました。
ようこそおこしくださいました
ここはきらめくびいどろの国
このよでもっとも小さな国には
すべてのまことがございます
くらやみでかがやくびいどろは
そのほんとうを見つめるまなこ
ぜひいつでもおかえりください
ぜひなんどでもおこしください
さあ、暗幕をくぐればそこはかの国。
訪れるも訪れないもあなた次第でございます。
「びいどろ、びいどろ。なるほど、なるほど。この金文字ももしや砕いたびいどろを使ってるのだろうか?……あたしの目ではそこまでは分からないが、まあ、まこと流麗な文字だ。このような素敵で心を擽られる招待状を貰ったからには、行かないわけあるまいて」招待状を上に上げて透かしたりしながら呟いてから、捲って中に入ります。
○●○●○●○●○
暗幕をめくってくぐりますと、一足先に夜がやってきたような暗がりが広がっておりました。
暗闇の中には柔らかな蝋燭の火がいくつか灯り、暗幕のひだをわずかに浮かび上がらせておりました。
また、その光は空間のあちこちに並んだガラスを通って、赤から青へ、黄から緑へと、幻のように煌めきます。
灯りの近くにはそれぞれ何者かが座り、色とりどりのガラス細工を商品のように並べております。
「これはこれは、美事な光景だ。なるほど、びいどろの国、名に恥じない、実にお美事なお点前。薫風に誘われ、行く当てもなくぶらりぶらりと散歩に出ていたが、それは実に正しい事だったようだ」一番近くの人のとこに歩きながら。
あなたがすぐ近くにいる人影へと歩み寄りますと、そこではいつかの思い出をくすぐるような音がしていました。
吊り下げられたいくつもの風鈴が、少しの風も吹いていないというのに、りいん、りいんと鳴っているのです。
あなたがそれを眺めていると、横に座っていた人が話しかけてきます。
真っ黒な布を頭から被っており、その人相は知れません。
風鈴売り:「それらは私のコレクションの中でも、いっとう上品な風鈴です。息を止めて耳を澄ますと、曇りのない音がよっく響いてくるでしょう」
「お気に召しましたらまじまじと、うんと近くでご覧なさい」
その声には一つの抑揚もなく、男なのか女なのかも、はたまた子供なのか老人なのかも、さっぱり分かりませんでした。
興味を持ちましたならば近くに寄り、いくつか<目星>をつけてみることもできましょう。
「ほう、風鈴、風鈴ね。あたしの家の縁側にも旅先で買った愛用品を飾ってあるが、これも負けず劣らず良き物のようだ。既に幾つかコレクションのようにしてもあるし。どれ、ひとつ見させて貰いましょう」唐紅色の風鈴を探して、それを手に取ります。
CCB<=25 Cthulhu : (1D100<=25) > 3 > 決定的成功/スペシャル
あなたが手にした唐紅色の風鈴がからくると回ると──
ふと、その風鈴と目が合いました。
いいえ、そのようなはずがありません。吊り下がったどの風鈴にも、目など付いてはいないのですから。
というのも、いつのまにやら風鈴は首吊り死体へと変わり、その両の目があるはずの場所は、ぽっかり暗く空いているのです。
その中にはとうの昔に亡くなった、あなたの知人も吊られているでしょう。
「らんぼうに扱うとすぐに壊れてしまいますので、集めるのにたいへん苦労しました」
「この国じゃお代はいただきません。どうぞお気に召した風鈴を一つ、お持ちかえりください」
その人はすうすうと息を吸い、くぐもった声で笑います。
続いて、びいどろがりいん、りん。
ええ、金銭はいただきません。しかし正気度のお代を頂きましょう。
<1/1D4>でございます。
CCB<=40 SAN Cthulhu : (1D100<=40) > 88 > 失敗
1d4 Cthulhu : (1D4) > 4
[ 瑠川 明斗 ] SAN : 40 → 36
そして頂いたお代を上乗せした1d10+4%分、<目星>に磨きをかけることができます。
1d10+4 Cthulhu : (1D10+4) > 6[6]+4 > 10
[ 瑠川 明斗 ] 目星 : 25 → 35
「ああ、ああ。今日のこの日、出てくる切っ掛けであった薫風と思っていたのは、地獄の零れ風であったか。なあ、わが友よ。あの時、お前を追いかける事の出来なかったあたしを責めているのか。かの文豪のように、あたしは人間失格だとても言うのかい。ああ、まったく……恥の多い人生だ。だが、しかし友よ。あたしはまだそちらには行けないのだ。だから、またここで一度お別れだ。また、いつかそちらに行くから」憔悴した顔で風鈴を戻します。
「ええ、ええ。それもまた、まことのことでございます」
その人はその様子を見届けるのみ。
ほかの場所も見て回るならば、足を先へと進めることもできましょう。
「ああ、店主。これを引き取ることはあたしにはできないが、もしできるのならば。丁重に扱ってやってはくれないだろうか」
「今までもこの先も、大事に大事に集めて参りますからね」
その人は何事もないように、風鈴を戻し去り行くあなたの後姿を見送ることでしょう。
それに安心したようにうなずいてから、次のお店へ。
○●○●○●○●○
鳴き声が聞こえてきそうなほど、それはにぎやかに見えました。
小さな机の上は、大小さまざまな動物や植物でいっぱいでした。
机の向こうに座った人が、やはり抑揚のない声で語りかけてきます。
動物売り:「いかがでしょう。どれもこれも、頭から爪先までていねいに、正しく作った代物です」
「わたくしの目で見てまいりましたので、まちがいは一つもございません」
「今は見ずともわかります。いくつかつまみ上げてご覧なさい」
その人の言うとおり、興味があるのであればいくつか<目星>をつけてつまみ上げてもいいでしょう。
そして、今のあなたの目はとっても冴えていることでしょうから、10%の補正を加えていただきましょう。
「……これは、これは。今のあたしの心を癒してくれそうな、丹精に作り込まれた置物だ。あたしの好きな菖蒲の花はあるだろうか」菖蒲の花をつまみ上げます。
CCB<=45 目星 Cthulhu : (1D100<=45) > 51 > 失敗
菖蒲の花を見つけてひょいと持ち上げてみますと、それは葉の裏を歩く虫までも見つけられそうなほどに、途方もなく精巧なガラス細工でありました。
肝を冷やす唸り声が聞こえてきそうな獣たちまで、見れば見る程、ひとつひとつが繊細に丁寧に作り上げられているのです。
一人で抱えられそうなほど小さな机だというのに、この世に生きとし生けるもののすべてが集められているような……。
「生き物というものは、どれもよくできているものです」
「ありのままを形作るだけで、これほどまでに美しく仕上がるのですよ」
これ程の逸品を見たあなたは、その鑑識眼が冴え渡るのを感じ取りました。
6面の賽子の出た目の数だけ、<目星>に磨きがかかります。
1d6 Cthulhu : (1D6) > 6
[ 瑠川 明斗 ] 目星 : 35 → 41
もう少し見てみるのならば、<品定め>の機会が与えられましょう。勝負の花を気に入りましたらどうぞ、持ち帰ってもかまいません。
CCB<=60 品定め Cthulhu : (1D100<=60) > 100 > 致命的失敗
おやまあ。
ふと目に入った獰猛な肉食動物のガラス細工の、今にも襲い掛かってきそうな程の精巧さにうっかり驚き、手にした菖蒲の花をうっかり落としそうになってしまったやもしれません。
<DEX×5>でうまく拾えましたら、その不注意さを恥じ次回の<目星>-10%。拾えなければ、もっと恐ろしいことが起きましょう。
CCB<=55 Cthulhu : (1D100<=55) > 44 > 成功
あなたはすんでのところで、手にした菖蒲の花を無事落とすことなく救出することができましょう。
次回の<目星>は-10%となります。
繊細なもの故、取扱いには充分にご注意くださいまし。
さあ、菖蒲の花をいただくもいただかぬでも、あなたはこの屋台にこれ以上いてはまた失態を犯すやもしれんと自責の念にかられます。
ほかの出店もあります故、もうしばし歩いてみてはいかがでしょう。
「っと、ととと。あたしとしたことが、危うく粗相をしてしまうところだった。もし、店主。あたしがここに居るとうっかり割ってしまいそうだからね、ここらでお暇させていただくよ」
「ええ、ええ。それもまことのことでございましょう」
動物売りはひゅうひゅうと喉を鳴らし、あなたの姿を見送ることでしょう。
○●○●○●○●○
足早に動物売りの店を離れたあなたが続いて目を向けた出店には、机の上に置かれた竹細工の籠に、大きなビー玉がうず高く積み上げられておりました。
蝋燭の火が球体の間を流れてしたたり、その表面を磨いているように見えました。
蛍火にも似たそれを見つめる間もなく、机の向こうの人が話しかけてきます。
ビー玉売り:「みずみずしく、つやつやとして、ええ、食べられそうなほど新鮮です」
「気になりましたら一つか二つ、隅から隅までご覧なさい」
籠の中から<目星>をつけ、いくつか好みの色合いのビー玉を見つけてみるのもまた、風情なことでございましょう。
しかしこれだけの数ですから、-10%の補正を忘れずに。
「ビー玉、ビー玉か。時には童心に帰るのも、それはそれでおつなもの。どれ、あたしが好きな……老緑に近い色はあるかな。無ければ退紅辺りでも探してみるとしよう」
CCB<=31 目星 Cthulhu : (1D100<=31) > 2 > 決定的成功/スペシャル
あなたはお目当ての、老緑色にほど近い色のビー玉を目ざとく見つけ、手に取ることでしょう。
そしてよくよく眺めていると――
おや、ビー玉が少しずつ白濁し、表面に赤い血管が音もなく広がり始めました。
あなたは何を持っているのですか。竹細工の籠に積み上げられていたのは、物言わぬ柔らかな眼球です。
どうして。
そのすべてが貴方を見つめ、何か言いたげな表情を……。
そんなはずはないでしょう。
けれども、けれども。
「時折、口に含んだって構わないとすら思うのです」
「きっといい味がするぞと、何かに囁かれるようで」
「嗚呼、たまらない。今すぐ含んでしまいましょう」
その人はぜえはあと息を荒げて眼球を口に含み、大きな声で笑います。
なぜだか、びいどろがからり、ころり。
<SANチェック:2/1D4+1>
CCB<=36 Cthulhu : (1D100<=36) > 64 > 失敗
1d4+1 Cthulhu : (1D4+1) > 2[2]+1 > 3
[ 瑠川 明斗 ] SAN : 36 → 33
さあさあ、見物料は高くつきましょう。1d10+3%、<目星>に磨きがかかります。
1d10+3 Cthulhu : (1D10+3) > 9[9]+3 > 12
[ 瑠川 明斗 ] 目星 : 41 → 53
「子供は無垢故残酷とは言うが……、童心に帰ろうとしただけでこの仕打ち。神よ、あたしが何かしたのだろうか?」
澄んだ音と暗闇ばかりが満ち満ちた空間でしたが、ふとこの出店の先を見てやれば、こちらが最後の出店のようで。
一番奥にかかった暗幕の向こう側だけ、わずかに明るいように見えました。
店を後にし、そちらへ向かうもまた一興。ビー玉を一つ持ち帰るもまた一興。
「店主、店主。お楽しみの所悪いが、あたしはそろそろお暇させていただく。これは返させていただくよ。申し訳ないが、あたしの趣味とは合わなかったようだ」明るい方に向かいます。
その人は特に気にしない様子で、あなたの姿を見送ったことでしょう。
○●○●○●○●○
一番奥にかかった暗幕の方へと足を向け、そちら側をじっと見つめていると、その明るさは柔らかな朝日で山霧が晴れていくように、ますますはっきりとしてくるようでした。
しかし自らの体内では恐怖と疑念が逆巻き、先走った好奇心の足を払うのです。
いくら目が冴えようとも、それが自ら培ってきた理性なのか、はたまた産まれながらに持つ本能なのかは分かりませんでした。
それでも暗幕の前まで辿り着き、ふと足元を見やれば、入り口で差し出されたものと同じ便箋がありました。
さあ、この先の暗幕をめくるか、めくらないかはあなたの恐怖心と好奇心を天秤にかけてようくご決断くださいまし。
「この便箋はここへの招待状。ならばならば、何も臆する必要は皆無。あたしを今日誘ったのが、薫風だったのか地獄の零れ風だったのか、白黒はっきりつける為にもこの幕はめくるべきでしょう」暗幕をざっぱりとめくります。
○●○●○●○●○
暗幕をめくると、向こう側から漏れてきた鮮やかな光が、暗闇に慣れてしまったあなたの目に飛び込んできました。
たいへん不思議なことに、暗黒の切れ間から差し込むその光は空中で揺らめき、直線らしい直線など一つもありませんでした。
その光に照らされようとそこには何の輪郭も見当たらず、この空間の果てを見出すこともかないません。
のどこか暖かな光を見ていると、自身を満たしていた恐怖心がさらに煮え立ち、
細胞という細胞が凝固していくようでした。
そして、何者かが冷たい手でゆっくりと、
眼前のヴェールを一枚一枚剥ぎ取っていくのが分かります。
何かが明かされようと、暴かれようとしているのだと、
心の内にわずかに残った正気がこぞって警鐘を鳴らしておりました。
<正気度減少:1D6/1D10>でございます。
CCB<=33 SAN Cthulhu : (1D100<=33) > 1 > 決定的成功/スペシャル
減少値最小値:1
[ 瑠川 明斗 ] SAN : 33 → 32 不定領域
1d10 Cthulhu : (1D10) > 5 フェティッシュ
……麗らかな光フェティッシュで。
それでは、それでは。 おかしなことに、その光を見たあなたには、
それを見るまでにあった恐怖心の欠片も消え失せたようで、
あなたはまるで吸い寄せられるように、光の方向へと歩いてゆくことでしょう。
「……お、おお!あれこそあたしの求めしもの。なんと不可思議で、なんと幻想的で、なんと美しく湛えられた光だ!あたしの心の澱という暗黒を払いしもの!こうしてはいられない、はやくかの光の元へと行かなければ」駆け出します。
そちらの方へ駆けてゆけば、すっかり忘れていた春の陽気があなたを包み込みました。
身体が少しずつ温まり、幸福感に似た何かがあなたを抱きしめます。
――けれど、それはほんの一瞬の出来事でした。
どこからか生ぬるい風が吹き、攫われた幸福の代わりに
ありとあらゆる膨大な記憶や知識が流れ込んできたのです。
<POW×3>に成功すれば、この時点で手を離して帰ることも可能です。
しかし、受け取った記憶や知識は消えず、自らの大脳皮質にこびり付くことでしょう……。
「おお、おお、この神聖なる光はあたしの憂いを祓う玉箒ともなりうるどころか、新たな知識や知見を授けてくれるというのか。酒やクスリにどっぷりと浸かる無知蒙昧共を侮蔑してきていたが、なるほど、このようなものなのだとしたら、それはむしろあたしの方が浅慮だったのだろう。光よ、もっとだ、あたしにその玉体に宿る見識を与え給え!」
嬉々として受け入れ、更に奥へ奥へと進んでいきます。
そう。ここにはこの世のすべてがあり、ここには何もありません。
神秘はすべて真実であり、科学はすべて幻想です。
我々が暮らしている宇宙はとある生物の脳細胞、ニューロンの繋がりのごく一部であり、
それぞれの生物の中にまた小さな宇宙があります。
形而上の存在と形而下の存在に大きな違いはなく、どれもが境界線を行き来していて、
分類することそのものはいたって無意味です。
あなたはどこを見ていますか。あなたは何を見ていますか。
あなたには本当に見えていますか。
見えているもの、それは妄言を積み重ねた先にあった軽薄な幻覚ではないでしょうか。
全身を駆け巡る電気信号の戯れの産物ではないでしょうか。
視神経がようやく持ち得た自我の表れではないでしょうか。
それとも、初めからずっとそこにあったものではないでしょうか。
――けれど、見えるのです。そのすべてが。
<正気度減少:1D10/1D100>でございます。
CCB<=33 SAN Cthulhu : (1D100<=33) > 42 > 失敗
1d100 Cthulhu : (1D100) > 54
[ 瑠川 明斗 ] SAN : 33 → -21
「は、ははは、はははははは!見える、見えるのだ。 あたしとは何か、あたしとは所詮、操り人形であった。
あたしの四肢を動かす糸が見える。
あたしの思考を誘導するイトが見える。
あたしの心を操る意図が見える!
滑稽、実に滑稽ではないか、あたしはあたしではなく、あたしではないあたしによって動かされていた。
道化よりも道化らしいではないか。
あたしが生み出されて、今までのうのうと生きてきて、この結末まで、貴様の思い通りなのだろう?
さぞかし良い御身分ではないか、造物主様よ。
とてもイイ趣味をしているな。ああ、とてもとてもイイ趣味だ。
……出て行け!この悪党めが!
貴様も莫迦な、嫉妬深い、猥褻な、図々しい、己惚れ切った、残酷や虫の善い動物なんだろう。
出て行け!
何故あたしをこの世にひり出したかは知らぬが、知ってしまったからにはもう、あたしは自由だ!
はははははははははははははははははははははははははは!!!」
しばし狂ったように笑いだしてぴたりと止まり、沈黙します。
真実の贈り物を受け取り、今にも弾け飛んでしまいそうなあなたは、
その糸を振り切るよう、自由を求め、まだ感覚の残っている手足を動かし、
来た方へ戻ろうと藻掻きます。
こうなってしまうと、もう自分の眼は何にも役に立ちません。
ある時は、手先指先の感覚を働かせて虫のように。
ある時は、太陽の匂いを追って獣のように。
ある時は、いまだ心地よいガラスの音を求めて人のように。
とにかく、前へ前へと進みました。
手先に布が触れる感覚がありました。ええ、あります。
あなたがそれを力いっぱい払いのけると、
研ぎ澄まされた耳にたくさんの音が飛び込んできます。
けれども、何も見えません。どこへ行ったのでしょう。
確かに声は聞こえるのに、確かに風は触れるのに、確かに春は香るのに、
そこには何もないのです。
ああ、困りました。
こんなことでは、道化を切り離してしまった以上、何にすがっていいかも最早今のあなたには分かりません。
見えません。
そこには、ここには何も。
僕は、俺は、いや私は、誰ですか、僕でしょうか、それとも私でしょうか。
ここにいるのでしょうか。
しかし、とにかく誰か、誰かに助けを求めなければなりません。
せめて、少しでも“そこにいる”と思える気配に向けて、
あなたらしきものは精一杯の声を振り絞りました。
「ねえ、わたしのびいどろはどこ?」
うららかな春の陽気に満ち満ちた、皐月のころでありました。
誰かが振り向いたのかは、今となっては分かりません。
○●○●○●○●○
びいどろとは ガラスの別名
玻璃 瑠璃 硝子 ギヤマン
ぽぴん ぽっぴん あるいは官吏
転じて、両の目のことを云う。
目のことを云う。目のことを云う。目のことを云う。目のことを云う。
眼ノコトヲ云フ。眼ノコトヲ云フ。眼ノコトヲ云フ。眼ノコトヲ云フ。
今まで何も知らなかったんだろう。
嗚呼、お前は本当に目が悪いねえ。
○●○脚本○●○
[びいどろの国]
○●○演者●○
PC:瑠川明斗
PL:ふがし
KP:Kemel
○●○到達○●○
『A』
『B』
▶『C』
――終幕――
○●○●○●○●○
以下、改変点。
・描写、各NPCのセリフの付けたし。
・ビー玉売りの食事。
・ファンブル直後にあるSANチェック。
・特殊判定ロールである«品定め»の使用。
これはこのシナリオ特有のギミックの一つである目星の再判定をするかどうかを決める技能です。
シナリオギミックに関してはここで詳しく書きませんが、品定めの算出方法はアイデア/2+幸運/2で行ってます。
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